『あんのこと』

2020年の日本で実際に起きた事件をモチーフに入江悠監督が映像化。19年のデビュー以来、数多の映画賞に輝く最注目俳優・河合優実が、底辺から抜け出そうともがく主人公・杏を演じる。制作陣には、第75回カンヌ国際映画祭で「カメラドール特別表彰」を受賞した話題作『PLAN 75』（早川千絵監督）のスタッフが集結。本作は杏という女性を通し、この社会の歪みを容赦なく突きつける。

21歳の主人公・杏は、幼い頃から母親に暴力を振るわれ、十代半ばからは売春を強いられ、過酷な人生を送ってきた。ある日、薬物使用容疑で取り調べを受けた彼女は、多々羅という薬物中毒患者の支援団体を運営する型破りな刑事と出会う。大人を信用したことのない杏だが、なんの見返りも求めず就職を支援し、ありのままを受け入れてくれる多々羅に、次第に心を開いていく。 しかしちょうどその頃、国は新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われ、杏がやっと手にした居場所や人とのつながりは、あっという間に失われてしまう──

1979年、神奈川県生まれ。2009年、自主制作による『SR サイタマノラッパー』が大きな話題を呼び、ゆうばり国際ファンタスティック映画オフシアター・コンペティション部門グランプリ、富川ファンタスティック国際映画祭NETPAC賞や第50回映画監督協会新人賞など多数受賞。その他の作品に『日々ロック』(2014年)、『太陽』(2016年)、『22年目の告白－私が殺人犯です－』(2017年)、『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』（2023年）などがある。