『蒸発』

「蒸発大国」と呼ばれている日本。様々な理由により、ある日突然人がいなくなってしまう現象をドイツ人映画監督のアンドレアス・ハルトマンと日本人監督・アーティストの森あらたが共同でドキュメンタリー形式として制作。

日本では毎年、何千人もの人々が忽然と姿を消している。彼らは「蒸発者」と呼ばれ、人間関係のトラブル、借金、ヤクザからの脅迫など、さまざまな理由で失踪する。その中にはいわゆる「夜逃げ屋」から支援を受けて、どこか別の場所で新しい生活を始める者もいる。本作は、その夜逃げ屋を営む女性を通して、さまざまな層に影響を与えるこの問題を繊細かつ親密に描写し、現代社会との関わりについて普遍的な問いを投げかける作品となっている。

アンドレアス・ハルトマン監督

ベルリンを拠点に活動する映像作家、映像カメラマン、写真家。東京アーツアンドスペース（TOKAS）やゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川など、いくつかのアーティスト・レジデンスにて招聘を受けている。彼の3作目の長編映画『A Free Man』は京都での滞在時に、伝統と現代の狭間に生きる日本の若者たちをテーマに制作、第22回釜山国際映画祭で釜山シネフィル賞を受賞した。

森あらた監督

ベルリンと東京を拠点に活動する映画監督、アーティスト。学習院大学日本語日本文学科、ロンドンのセントラル・セイント・マーティン校ファイン ・アート学科卒業。2022年にはアジアン・カルチュラル・カウンシル個人フェローシップを受賞、2023年にはDAE - ヨーロッパドキュメンタリー協会のメンバーも務める。2021年、中国の一帯一路政策で開発が進むシルクロードの現代都市群を架空の都市として描く虚構の旅行記、ドキュメンタリー映画『あ・みりおん』が第64回ライプツィヒ国際ドキュメンタリー映画祭で初上映された。