『仁義の墓場』 [Le Cimetière de la morale]

昭和21年。新宿ではテキ屋系の四つの組織が縄張りを分けあっていた。 石川力夫の所属する河田組は、経営の才にたけた河田修造を組長に、組員三百名を数え、野津組に次ぐ勢力を誇っていた。兄弟分の今井幸三郎、杉浦、田村らを伴った石川は、中野の愚連隊「山東会」の賭場を襲い金を奪った。 山東会の追手から逃がれ、忍び込んだ家で、石川は留守番をしていた娘、地恵子を衝動的に犯し、この事件をきっかけに、山東会と石川たちの抗争が起こる。 粗野で兇暴な石川に手を焼く河田は、最近縄張りを荒らす、池袋親和会の血桜の政を消すように示唆した。石川は政の情婦夏子を強姦し、駈けつけた政の顔をビール瓶でめった突きにしてしまう。