『唄う六人の女』

石橋義正の約10年ぶりの監督作となる本作は、人里離れた森の奥深くに迷い込んだ二人の男と、その森に暮らす六人の女たちを巡る、独創的で刺激的な物語。竹野内豊と山田孝之がダブル主演を務め、異様な世界に迷い込んだ正反対な性格の二人の男を、観るものを惹き込む正気と狂気のキャラクターで体現した。主人公二人を取り巻く“六人の女”を演じるのは、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈と多彩な面々が顔を揃えた。さらに、竹中直人、白川和子、津田寛治と実力派が脇を固める。

ある日突然、40年以上も会っていない父親の訃報が入り、父が遺した山を売るために生家に戻った萱島と、その土地を買いに来た開発業者の下請けの宇和島。契約の手続きを終え、人里離れた山道を車で帰る途中に、二人は事故に遭い気を失ってしまう。目を覚ますと、そこには魅力的で危険な六人の女がいた。何を聞いても一切答えのない彼女たちは、彼らの前で奇妙な振る舞いを続ける。禁じられた森の中で迷った男たちは、この場所からの脱走を図るが……。

1968年、京都生まれ。映画監督だけでなく、パフォーマンスやビデオインスタレーションを手掛ける芸術家としても活躍している。アーティスト集団「キュピキュピ」のリーダーとして、2003年にはパレ・ド・トーキョーやテート・モダンで公演を行った。異例のマネキン主演ドラマ『オー！マイキー』は日本で大ヒットし、2004年にはベルリン映画祭に招待された。2011年に公開された『ミロクローゼ』は本作の主演でもある山田孝之の七変化が話題を呼び、モントリオールのファンタジア映画祭で最優秀監督賞を受賞した。