Kinotayo 17e festival du cinéma japonais contemporain

『スープとイデオロギー』(Soup and Ideology)

© 2021 PLACE TO BE. Yang Yonghi

出演:
製作: 2021 | 本編: 118分 | ジャンル: ドキュメンタリー | 日本語音声・フランス語字幕

作品概要

『ディア・ピョンヤン』などで自分の家族と北朝鮮のつながりを描いて来た在日コリアン2世の女性監督ヤン ヨンヒ。自らの母の生き様を通して、国家の残酷さと運命に抗う愛の力を写す、感動のドキュメンタリー。

在日コリアン2世のヤン ヨンヒ監督。彼女の母は大阪生まれで、2009年にヨンヒの父が亡くなってからは大阪でずっと一人暮らしだ。ある日、母は朝から台所に立ち、高麗人参とたっぷりのニンニクを詰め込んだ丸鶏をじっくり煮込んでいた。ヨンヒとの結婚の挨拶にやって来るカオルさんにふるまうためのスープだ。

朝鮮総連の熱心な活動家だったヨンヒの両親は、1970年代の「帰国事業」で3人の息子たちを北朝鮮へ送り出した。借金をしてまで息子たちへの仕送りを続ける母を、ヨンヒは心の中で責めてきた。しかし、母は心の奥深くに秘めていた壮絶な体験を初めてヨンヒに語り始める。実は年老いた母は、韓国現代史最大のタブーとされる1948年の虐殺事件「済州4・3事件」の生き残りだったのだ。ヨンヒはアルツハイマーで徐々に記憶が消えてゆく母を、済州島へ連れて行こうと決意する。


ヤン•ヨンヒ

1964年、大阪府出身。在日コリアン2世で幼少期より民族教育を受けて育ち、東京の朝鮮大学校を卒業。大阪朝鮮高等学校での教師の他、劇団活動、ラジオパーソナリティ等を経た後、1995年より国内及びアジア各国を取材し報道番組やTVドキュメンタリーを制作する。NYニュースクール大学大学院メディア・スタディーズ修士号を取得後、父親を主人公に自身の家族を描いたドキュメンタリー映画『ディア・ピョンヤン』(2005)を発表。ベルリン映画祭・最優秀アジア映画賞(NETPAC賞)、サンダンス映画祭・審査員特別賞等を受賞し、日本、韓国で劇場公開される。自身の姪の成長を描いたドキュメンタリー『愛しきソナ』(2009)に続く、初のフィクション映画『かぞくのくに』(2012)はベルリン映画祭国際アートシアター連盟賞(CICAE賞)、ブルーリボン賞作品賞、キネマ旬報日本映画ベスト・テン1位等、国内外で多くの賞に輝き、第85回米アカデミー賞・外国語映画賞の日本代表となった。