Kinotayo 18e festival du cinéma japonais contemporain

『狂つた一頁』

監督: 衣笠貞之助
出演: 井上正夫、中川芳江、飯島綾子、根本弘
製作: 1926 | 本編: 59分 | ジャンル: ドラマ、実験映画 | 無声映画

作品概要

★弁士・シリル・コピーニ解説、音楽演奏付シネコンサート上映★

衣笠貞之助監督が、横光利一・川端康成ら新感覚派の作家と結成した新感覚派映画聯盟と、衣笠映画聯盟で製作した前衛的サイレント映画。1950年の松竹撮影所倉庫の火事によりプリント・ネガともに消失し、作品は現存しないとされてきたが、1971年にプリントが発見され、衣笠監督により再編集された。多重露光、フラッシュバック等のテクニックを多用し、精神病院に入院する妻と彼女を見守る夫の日常と幻想を表現する。

<ストーリー>
妻を虐待し、娘とともに捨て置いて海外に渡航していった船員の男。旅に疲れ故郷に帰ってみると、精神に異常をきたした妻は檻のついた病院に収容されていた。老いた男は妻のいる精神病院で小間使いとして働き始め、妻を見守る。男は妻を檻から逃がそうとするが、妻はそれを拒絶する。悲しみ、不安、苦悩、絶望、そして幸せな記憶とが交錯しながら、男は様々な幻想を見ていく。


衣笠貞之助

1896年三重県出身。15歳より女形俳優として様々な新派劇団で演じた後、1917年に日活撮影所に入社。女形のスターとして『七色指輪』など数多くの作品に出演。1920年の『妹の死』では出演のほか、脚本を担当、演出も手掛ける。1922年マキノ映画へ移籍してからは牧野省三の下で映画監督・脚本として活躍。本作を製作後、松竹・東宝・大映でスター俳優の長谷川一夫とのコンビで多くの時代劇映画を製作した。1953年公開の『地獄門』はカンヌ国際映画祭でグランプリ、米アカデミー賞名誉賞・衣裳デザイン賞などを受賞。他、主な作品に『十字路』『雪之丞変化』など。