『港町』(Inland Sea)
監督: 想田和弘
出演: ー
製作: 2018 |
本編: 122分 |
ジャンル: ドキュメンタリー | 日本語音声・フランス語字幕
作品概要
想田和弘監督がナレーションやBGMを排除した独自の手法で写した「観察映画」の第7弾。前作『牡蠣工場』(2016年度キノタヨ映画祭ソレイユ・ドール受賞)の撮影で訪れた港町・岡山県牛窓を撮影の合間に歩き回った監督。そこで出会った人々の営みと言葉を美しいモノクロームの映像で映し出してゆく。
<ストーリー>
岡山県に位置する牛窓は、万葉集にも詠まれた、瀬戸内海に面した港町。かつて今村昌平監督からこよなく愛され『黒い雨』や『カンゾー先生』が撮影されたが、近年の牛窓では人口の流出が続き、高齢化と過疎化が進んでいる。町では残り少なくなった漁師の一人ワイちゃんは、牛窓版『老人と海』のごとく86歳になった今でも独りで小さな舟に乗り漁を続ける。亡き夫が残した魚屋を切り盛りする高祖さんは早朝の市場の競りで魚を仕入れ、町の隅々にまで配達し、残りは野良猫たちに振る舞う。撮影をするうちに、毎日所在なげに近所を徘徊する84歳のクミさんも、カメラのフレームに乱入し始める。
想田和弘
1970年栃木県出身。東京大学文学部卒業後、1993年よりNY在住。NYのスクール・オブ・ビジュアルアーツ映画学科にて学ぶ。NHKなどのドキュメンタリー番組を手がけた後、フレデリック・ワイズマンの影響のもと台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。その第1弾『選挙』(2007)は世界200カ国近くで放送され、米国ピーボディ賞を受賞、ベルリン映画祭にも出品された。その後、2008年の『精神』(釜山国際映画祭・最優秀ドキュメンタリー賞)、2010年の『Peace』(香港国際映画祭・最優秀ドキュメンタリー賞)、劇作家・平田オリザ氏と青年団を映した2012年の『演劇1』『演劇2』(ナント三大陸映画祭「若い審査員賞」)などを発表。2018年のベルリン映画祭では本作がフォーラム部門にて、アメリカのミシガンで撮影された『ザ・ビッグハウス』(2018)が批評家週間にて上映された。
キノタヨ映画祭への出品は2014年度の『選挙』『選挙2』、2016年度の『牡蠣工場』(ソレイユ・ドール 観客賞グランプリ)に続く4作品目となる。