『福田村事件』

「A」「A2」「i 新聞記者ドキュメント」など、数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきた森達也が自身初の劇映画作品として、関東大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件・福田村事件を題材にメガホンを取ったドラマ。

1923年9月1日、関東大地震が発生した。そのわずか5日後の9月6日のこと。震災により多くの人びとが大混乱となり、流言飛語が飛び交う中、香川から関東へやってきた沼部新助率いる行商団は次の地に向かうために利根川の渡し場に向かう。だが沼部と渡し守の小さな口論に端を発した行き違いにより、興奮した村民の集団心理に火がつき、後に歴史に葬られる大虐殺が起こってしまう。 本作は、関東大震災および朝鮮人虐殺事件から100周年を迎えた2023年9月1日に公開され、日本史の知られざる一面に光を当てた作品。

1956年、広島県生まれ。1992年にテレビドキュメント作品『ミゼットプロレス伝説 〜小さな巨人たち〜』でデビュー。主にメディア体制に対する批判的なドキュメンタリーで知られ、オウム真理教を扱った『A』（1998年）や『A2』（2001年）、そして2014年に全国的な騒動に発展した佐村河内守の「ゴーストライター問題」を追った『FAKE』（2016年）など、論争を呼ぶテーマに焦点を当てている。

『福田村事件』は、森にとって初の劇映画である。